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愛知県に行ってきた2(コノハズクを追って) [愛知県]

こうして鳳来寺山をおりた私たちは、次に鳳来寺の表参道の方へ向かうことにしました。つまり車だと鳳来寺パークウェイを使って、裏側から山頂付近まで行けるわけですが、本来は西側にある表参道から、登山道を40分ほどかけて登るのが正式なわけでして・・・
今でも表参道側から登る人たちは多いですが、これはハイキングになるので、山歩きの格好が必要です。私たちは、車で鳳来寺パークウェイを使って麓までおりてくると、伊那街道を使って鳳来寺の表参道へ向かいました。

IMG_7729.JPG
今はハイカー以外は圧倒的に車でのぼるひとの方が多いらしく、表参道はずいぶんと人気が少なかったです。そんな表参道にわざわざ来たのには理由があります。

ある鳥の歴史を訪ねにきたのです。

◆ ◆ ◆ ◆

静かな夜の森のなかで、「ブッ・ポー・ソー」と鳴く鳥がいました。
むかしの人たちは、その鳴き声を「仏法僧」にあて、「なんとありがたい鳴き声の鳥なことだ」と思っていました。「仏法僧」とは三宝(さんぼう)のこと。仏教徒は、この3つに帰依する必要があるわけで、「仏法僧」とは仏教を象徴する意味があります。

かの有名な聖徳太子は604年、17条憲法の一つに次のように定めました。

一つ、篤く三宝を敬え。三宝とは仏・法・僧なり


どうでもいい話ですが、むかし、手塚治虫の「ブラックジャック」を読んでいたら、ブラックジャックはやたら「ナムサン!」って言うんですな。

「ナムサン」って、なんやねんと当時は思っていましたが、「南無三宝」の略らしいです。

「南無三宝」とは本来は「仏教に帰依する」という意味ですが、『広辞苑』によると、二つ目の意味で「驚いた時や失敗した時、また事の成功を祈る時に発する語」とあります。

なんというか、現代ではなかなか聞かない言葉ですが・・・


話がずれましたが、三宝を唱える鳥ですから、実にありがたい鳥ですね。


そんなありがたい鳴き声の持ち主はある群青色の鳥でした。

ひとびとはいつしか、その鳥をブッポウソウと名付け、和名もそのままブッポウソウとなりました。

ところが不思議なことがおきた。

人々がブッポウソウと呼んでいた群青色の鳥をよく観察してみると、「ブッ・ポー・ソー」と鳴かないのです。

当のブッポウソウは、「ゲッゲッゲッ」という鳴き声で、どう考えても「ブッ・ポー・ソー」ではない。

では、「ブッ・ポー・ソー」と鳴く鳥の正体は何なのか。

ながらくこの真相は謎のままでした。

この謎がとけたのは昭和10年(1935)のことでした。

日本放送協会(つまりNHK)名古屋中央放送局が鳳来寺山で行ったラジオの実況中継で、この鳴き声を放送したところ、放送を聴いていた人から「うちの飼っている鳥と同じ鳴き声をする」と連絡があった。

ほんでもってその人のところへ取材に行くと、確かに「ブッ・ポー・ソー」と鳴く。そして、その鳥の名はコノハズクというミミズク(フクロウ)の一種であった・・・

こういうわけで、「ブッ・ポー・ソー」と鳴く鳥の正体はコノハズクだとわかったわけです。

そうは言ってもブッポウソウの和名はそのままブッポウソウ。
コノハズクはコノハズクのままなんですがね・・・

ちなみにこういった事情でか、コノハズクは愛知の県鳥となっています。

ところが真相解明のきっかけとなった鳳来寺山では、もう長くコノハズクの鳴き声を聞かなくなったと言われています。
IMG_7701.JPG

聞かれなくなったのか、いなくなってしまったのかわかりませんが、全体的にもブッポウソウもコノハズクも近年その生息数を減らしているとのことです。

2007年、NHKの歌番組「みんなのうた」で「鳳来寺山のブッポウソウ」という歌が放送されました。

これは作詞・作曲した富田勲さんが、かつて少年時代に鳳来寺山でコノハズクの鳴き声を聞いた思い出からつくられたものです。

歌詞のなかに「ぼくの名前はコノハズク 三河のひとたちがまちがえた」というものがあり、コノハズクとブッポウソウの物語がさりげなく入れらています。

そして同時に、再びコノハズクの鳴き声を鳳来寺山で聞きたいという富田さんと新城のひとたちの願いが込められているのでしょう。

◆ ◆ ◆ ◆

富田さんにコノハズクへの思い出があるように、私にもコノハズクに思い出があります。

むかし、もう十何年も昔のことです。

まだ小さな子どもだった頃、母親がよく見ていた昼のテレビ番組(たぶん「午後は○○おもいッきりテレビ」の「きょうは何の日」のコーナーだったと思いますが)で、鳳来寺山のブッポウソウの話がやっていたのです。

私は鳳来寺山の雄大な自然と、「ブッ・ポー・ソー」と鳴く不思議な鳥の話がとても印象的で、いつまでも覚えていたのです。

おそらくその時は、ブッポウソウという鳥とコノハズクという鳥の物語など理解できていなかったのでしょうが。

やがて江戸時代の小説家、上田秋成の『雨月物語』のなかにある「仏法僧」という話に魅せられ、ブッポウソウは私のなかでますます不思議な鳥になりました。

そこからいつかブッポウソウで名高い鳳来寺山へ行ってみたいと思うようになりました。

まさに十数年来の願いをいまここで果たしたわけです。

◆ ◆ ◆ ◆

そんなわけで、同行した友達にもコノハズクの鳴き声を聞いてもらおう!ということで、やってきたのは新城市立鳳来寺山自然科学博物館。
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鳳来寺山の自然に関する展示がなされています。
料金は大人210円。
都会にある自然博物館のような小奇麗な感じはありませんが、展示はどれもわかりやすく、いい感じです。

コノハズクコーナーは特に力を入れています。パネルの写真はクリックすると拡大します。

コノハズクの生態 【クリックで拡大します】
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正面から見ると、尖った耳がかわいいです 【クリックで拡大します】
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いや、耳ではないんですけどね・・・

これは模型。上がブッポウソウ、下がコノハズク。
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画像が変な形なのは、ガラスに反射した自分が盛大に映り込んだため、トリミングしたためです・・・

そんでもって、コノハズクの鳴き声を聞いてもらいましょう。


・・・なんていうか、言われないと、とても「ブッ・ポー・ソー」には聞こえないですね。

私には「ポッ、ポッ、ポー」としか聞こえない・・・

しかも、最初を発音しないで「ポッポー」と鳴く場合もあるそうで・・・

これが「声のブッポウソウ」の正体がわからなかった理由では?

ま、そんなこんなでややこしいので、ブッポウソウのことを「姿のブッポウソウ」、コノハズクのことを「声のブッポウソウ」と呼んだりもします。

ブッポウソウ自体も青い羽が美しい鳥ですが、絶滅危惧種に指定されています。

しかし、長野県の天龍村では、巣箱を設置して、生息地の保存に取り組んでおり、少しずつ個体数が回復しているのだとか。(⇒天龍村のブッポウソウのページ

コノハズクもブッポウソウも、どちらも渡り鳥ですが、日本の自然の中で育まれ、日本の文化のなかで大切にされてきた鳥ですので、環境保護の整備などが進み、個体数が回復することを願ってやみません。

そうして、いつかまた鳳来寺山にコノハズクの鳴き声が聞こえる日がくればいいなと思いました。


◆ ◆ ◆ ◆

ちなみに自然博物館から、さらに奥にあるいていくと、鳳来寺山・鳳来寺の入り口に向かうこととなります。
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道路の終点がこのような山道になっています。
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ここが入口
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振り返ります。
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上の写真の右側にハイカー用の有料駐車場がありますが、ここまでの道はかなり狭いです。
離合どころか、通ることさえ結構きついような・・・それでも大きな車も止まっていたので、みんながんばってくるんでしょう。
私には無理そうなので、博物館の駐車場に車をとめたまま、ここまで来ちゃいましたが。

ここから山道を登って10分ほどでしょうか。
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鳳来寺の山門が見えてきました。
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重要文化財だそうです。

赤い山門です。我々はここで引き返しました。
IMG_7719.JPG

いやぁ、それにしても鳳来寺山、気に入りました。
他に特に見る場所はないんですが、雰囲気はなかなか良いと思います。
奥三河の名所はまだまだあるようなので、また機会があったらこの地方もいろいろ行きたいものです。

(つづく)


鳳来寺山のブッポウソウ

鳳来寺山のブッポウソウ

  • アーティスト: 冨田勲,冨田勲,NHK東京児童合唱団,坂田美子
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2007/08/01
  • メディア: CD



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Mattie Poe

木の葉木菟は、夜中に犬を探して山を歩いているとよく鳴き声を聞きました。可愛い鳥ですね、北海道に鹿猟に行った折はアイヌの人に埋れ木で島フクロウを作ってもらいましたが、やはり耳のような羽が付いています。
by Mattie Poe (2015-11-05 07:28) 

Mattie Poe

木の葉木菟は、夜中に犬を探して山を歩いているとよく鳴き声を聞きました。可愛い鳥ですね、北海道に鹿猟に行った折はアイヌの人に埋れ木で島フクロウを作ってもらいましたが、やはり耳のような羽が付いています。
by Mattie Poe (2015-11-05 07:29) 

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